私は大学院で物理を専攻し、「統計力学」の研究に従事していました。博士課程修了後、培った物理の知見を活かして日本の製造業に貢献したいという想いを抱き、モノづくりを支援する流体解析ソフトウェアを開発する企業に就職。しかし、担当業務は文字通り「ソフト開発」であり、求められたのは高度なプログラミングのスキルでした。私としては、もっと上流の「解明するのが難しい現象を数値モデルに落とし込む」ことに力を発揮したいと思っていたものの、その機会はほとんど得られなかった。そうした環境に物足りなさを覚え、やはり「IT」よりも「物理」に軸足を置いてモノづくりを進化させる仕事がしたいと、転職を決意したのです。私がやりたいことを実現するためには、自社開発ではなく外部からソフトウェアを導入し、「解析」にフォーカスしてCAEソリューションを展開している企業に身を置くべきだと考え、転職活動を進めていたところ出会ったのがJSOLでした。
JSOLは、“LS-DYNA”という米国発の高度な構造解析ソフトウェアを国内に導入し、大手製造業に解析ソリューションを提供しています。また、入社したのはLS-DYNAに流体解析の機能が新たに追加されたタイミングでした。私は前職で流体解析を経験していたこともあり、ソリューションの起ち上げから関わるチャンスを与えていただきました。以降、流体解析に関するユーザーサポートや、お客様からの受託案件の解析業務、新たなソリューションをお客様に提案する技術営業などに携わり、充実したキャリアを重ねています。LS-DYNAは自動車業界で評価が高く、日本を代表する自動車メーカーから「この現象を解析してほしい」と切迫した依頼をいただくこともあり、最後の砦を担っていることに誇りを感じています。そしていま、JSOLのCAEソリューションは自動車分野以外にも軸を増やそうとしており、未知の解析にも果敢に挑戦しています。物理学の観点から難題を解く機会が、これからいっそう増えていく。そこで自分の強みを生かし、難しい解析案件で真っ先に指名されるような、そんな技術者になりたいと思っています。
実は大学院時代、研究活動でJSOLが提供する分子動力学シミュレーションのソフトウェアを使用した経験があり、名前は知っていました。また、当時出席した学会で、JSOLの技術者の方が解析の成果を発表しているのを目にして、アカデミックなカルチャーのある会社だなという印象も持っていました。実際に入社してみると、博士号を取得している社員が周りに在籍しており、学究的な雰囲気で私には合っていました。LS-DYNAは国内の大手ITベンダーも手がけており、競合となる存在ですが、彼らはLS-DYNAを載せるハードウェアを販売することに主眼を置いていて、難しい解析案件は敬遠しているようです。その点、JSOLは難しい解析にソリューションを出すことを自らの存在意義として掲げており、当社を転職先に選んで正解だったと感じています。