<JSOLの背景>
JSOLは、顧客の事業成功をITで共創するパートナーとして、多くのプロジェクトを担ってきた。近年は社会や企業のデジタル変革に関わることが急増しているが、JSOLでは法人ビジネスイノベーション事業本部が中心となってDX推進に取り組んでいる。同事業本部は製造業、医薬、食品・流通、公共分野(自治体、独立行政法人、官公庁)を重点業界と定めている。本記事では、横浜市の公募型の受託案件を通して、JSOLが公共分野でどのような強みを活かしてDX推進を行なっているかを紹介する。
CASE OUTLINE
<事例>
横浜市地域子育て支援拠点次期システム構築におけるDX推進
横浜市の子育て支援施設の利用申請をデジタル化し、
市民サービス向上と職員の業務改革に大きく寄与
<概要>
◎24時間365日、ネットによる安全なサービス申込・手続きが可能に
◎デジタル化による職員作業負担を大幅軽減し、住民サービスへ注力
◎デジタル化に伴う新たな業務設計のコンサルティングを実施
Theme-課題
横浜市は市内の18区に、「地域子育て支援拠点」を設け、未就学児童とその保護者が遊び・交流するスペースの提供や、子育て相談や子育て情報の提供サービスを行なっている。現状は横浜市と運営するNPO法人の官民連携によりサービスが行われているが、紙運用を前提としたフロー、機能面の不足等により、以下の課題に対する解決策が求められた。
1:市民の利便性向上(電話、メール、現地往訪などのアナログ対応)
2:情報の一元管理(18区それぞれの会員管理、紙ベースの情報管理)
3:業務プロセスの効率化(集計業務を始めとした紙と、メール、エクセルによる手作業)
<JSOLのアプローチ>
2023年4月、横浜市は公募型プロポーザル「横浜市地域子育て支援拠点関係システム構築業務委託」を募集し、JSOLの提案が採択された。法人ビジネスイノベーション事業本部 デジタルビジネス事業部の中神祥文事業部長を事業責任者に、JSOL社内からPM以下6名、協力会社のSEが8名という陣容で、最上流工程から開発を着手。
JSOLの提案内容
- ServiceNowを用いた職員の事務負担軽減、市民サービス向上を図りつつ、
ローコード基盤によるきめ細かい行政サービスへ柔軟に対応 - 18区バラバラの業務を業務標準化すると共に、効率化の実現
- 強力なプロジェクト推進による、高品質、計画通りの推進
POINT-1市民の利便性向上、職員の事務負担軽減
JSOLは、システムのプラットフォームにServiceNowを選択し、市民向けポータルと職員向けバックオフィス機能を実装。メール配信にはAWS SES、サイトの多言語化対応にはWOVN、音声読上げにはReadSpeaker、帳票出力にはSVF Cloud、地図検索にはGoogleMAPなど、複数のSaaSを組み合わせてフロント側のサイトを構築した。
JSOLの果たした役割
それまでに複数のプロジェクトでServiceNowを活用していたJSOLは、ServiceNowの特徴や活用方法を熟知。さらにJSOLがSI企業として培ったアプリケーションの統合技術が大きく活かされ、複数のSaaSを適切に選択・統合して複数の機能を統合するインテグレーション力を発揮した。
市民の利便性向上、職員の事務負担軽減プラットフォーム
POINT-2施設運営側・市当局の業務改革を推進
ServiceNowはデータを一元的に連携したワークフローを実現し、人手による業務連携作業を簡素化している。当案件で言えば、利用者が施設利用や、相談、イベントへの予約・参加などを行なった時点で、施設を運営する横浜市職員や横浜市から委託された施設運営者は、リアルタイムに状況を共有できる。
JSOLの果たした役割
共創パートナーとして、DXを単なるツール導入とするだけでは顧客を満足させる成果に届かないと考えたJSOLは、現状業務をデジタル化でどう変え、デジタル化を踏まえた業務設計を横浜市、拠点事業者を交えリードした。特に行政サービスのデジタル化では多様な市民に対するサービスを考慮し、デジタルとアナログが混在、その前提での業務負担の軽減が大きなポイントである。こうした現実を踏まえた業務設計を提案し、まとめ上げている。
こうしたJSOLのリーダーシップを発揮した背景には、豊富なERP導入等で蓄積した顧客業務のノウハウに精通したJSOLメンバーの業務コンサルティング力があった。
POINT-3短納期での導入
設定された構築期間は約1年。厳しい納期が想定された。ServiceNowはローコードの開発による短期間の構築が期待できるが、汎用プラットフォームでもあり新たに設計した業務との摺り合わせに時間が必要であった。そこで効率的に進める導入方法論とツールを取り入れた。
JSOLの果たした役割
JSOLはオリジナルの電子申請テンプレートJ'sX(ジェイズクロス)を採用。J'sXには、JSOLがこれまで蓄積してきた業務設計のノウハウを反映した各種業界ごとのテンプレート、並びにDX推進システムを円滑に導入するための導入方法論が用意されている。当案件も、J'sXによって開発期間の大幅な短縮とスムーズな導入を実現した。
業界・業務特化型テンプレート J’sX〔ジェイズクロス〕
新システムの導入に際して利用者側に生まれる最大のメリットは、24 時間365日いつでもインターネットからサービス利用が可能になること。働く世代の親は忙しい。窓口訪問・電話の連絡や手続きはとても不便だ。会員登録からイベント参加予約、相談予約など一通りの手続きも時間や場所を選ばずにできる。これにより利便性が大幅に向上する。
市内18ヶ所の施設を運営する横浜市側のメリットは、拠点職員の大幅な業務負荷の低減である。紙ベースで行なっていた膨大な利用者データの管理、エクセルへの集計・入力の単純作業、時間を取る報告業務がデジタル化によって消失。職員はルーティンな単純作業から解放され子育て支援の企画や遂行、新サービスの開発など、市民に向き合う本来の仕事に時間を創出することが可能になった。
事業責任者より
様々な社会課題に対して
DXでダイレクトに貢献できる
法人ビジネスイノベーション事業本部
デジタルビジネス事業部
事業部長 中神 祥文
今回の横浜市の地域子育て支援拠点の次期システム構築は、我々も利用者サイドの視点に立ちやすい課題解決テーマであり、市民サービス向上に寄与するやりがいをメンバーたちは強く感じていました。一方で、横浜市からは、我々のDXを推進する技術力と業務コンサルタントとしての高い評価が度々伝わってきました。
我々は、今回のプロジェクトで得た技術とノウハウを、公共機関、一般法人の垣根を越えて横展開しようとしています。様々な業務部門で扱うデータをリアルタイムで共有する環境をDXによって提供することで、顧客の業務改革を推進していきます。実際に、我々はITによる事業の成功を顧客と共創してきた実績を豊富に持つこともあり、社会のデジタル化が急速に進む現状においてDX推進の共創パートナーに続々と選ばれています。
顧客のアナログ業務からの変容を共に考える、DXの共創パートナーとして認知される当社は、技術力と業務コンサルティング力がエンジンであり、双方を身につけて社会に貢献したいと考える人には、その思いとスキルを社会のために存分に発揮できる機会があります。新しい日本のデジタル社会を築いていくステージで、ぜひ我々とともに顧客のDXを成功させていきたいと考える方をお待ちしています。